- グリコヘモグロビン(HbA1c)とは何でしょうか
- 糖尿病治療において最も有名で標準的な検査です。
食事療法・運動療法・薬物療法など治療の結果として受診時に月1回程度測定いたします。
血液中の赤血球内のヘモグロビンがブドウ糖と結合した割合を測定したもので、過去1ヵ月間程度の血糖レベルを示しています。網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病合併症の進展を阻止するためにはグリコヘモグロビンを可及的低値に維持することが重要とされます。従来のJDS値から国際標準値NGSP値への切り替えがなされ、JDS値に0.4%の上乗せの値として表記されます。
良好な血糖コントロールの基準としてNGSP値7%未満の成績が推奨されます。なお当院の糖尿病通院患者さん全員(1000名以上)のグリコヘモグロビンの平均値はNGSP値7.0%(JDS値6.6%)となっております。 - 糖尿病の運動療法はどのように行なえばよいでしょうか
- 運動療法は自己管理においては食事療法に次いで重要な治療法です。
酸素を十分に取り込んで全身の筋肉が収縮するような運動(有酸素運動)を効率的に行なうことで、血中のブドウ糖が細胞の中に取り込まれ血糖値が低下します。
またインスリンの効果が増強され、より少量のインスリンで血糖の低下をもたらします(インスリン抵抗性の改善)。運動の種類はウォーキング、ジョギング、水泳、自転車、テニスなどさまざまですが、有酸素運動なら基本的に何でもよいです。
個人の体力や足腰の状態などで無理のないものを行なってください。一般的には「いつでも、どこでも、一人でも」安全かつ手軽にできる歩行(速歩)が老若男女に勧められます。20-30分の歩行を1日2回食後1-2時間後に行なうと最も効果的です。運動療法の可否は担当医の指示を受けてください。 - コレステロールの薬物療法はどのくらいからが適当でしょうか
- 食事療法(動物性脂肪の制限)や運動療法(有酸素運動)を2-3ヵ月間行い悪玉コレステロール(LDL)が十分に低下しなければ薬物療法が必要とされます。
薬物療法を開始すべきLDLの基準値は年齢や合併疾患などで異なりますが、糖尿病や高血圧、心臓病や脳血管障害などの合併があればより十分な低下が必要です。
現在ではスタチンと呼ばれる薬剤が治療の主体ですが、コレステロールの腸管での吸収抑制剤も有効です。 - 抗甲状腺剤の副作用はありますか
- 甲状腺機能亢進症ではメルカゾール(MMI)かプロパジール・チウラジール(PTU)のいずれかの薬剤を使用します。
- 皮膚の発疹:服用者の1-2割に認められます(比較的多い)。発疹の出現時はもうひとつの薬剤に変更することが一般的です。
- 無顆粒球症:白血球のうちの顆粒球が特異的に減少するものでかなり稀(数百人に1人程度)ですが、いったん発症すると生命の危険があり直ちに服用を中止して手術療法か放射線療法に変更します。高熱や咽頭痛がある時はすぐに血液検査が必要です。
- 甲状腺穿刺細胞診とはどういうものですか
- 甲状腺内に結節(腫瘍)がある場合に、エコーを見ながら結節内に採血用の細い針を挿入し細胞を採取し病理検査を行なうものです。
熟練した医師が行なえば針の刺入時間は1分程度で終了し、出血もないかあってもごくわずかです。終了後ご自身の指で5-10分程度の圧迫をしていただき、刺入部にカットバンを貼付してすぐ帰宅でき、当日は入浴も可能です。
病理検査はクラス分類で5段階あり、クラス1、2は良性、クラス3は異型性あり、クラス4、5は悪性と判断いたします。結果が出るまで約1週間程度かかります。 - 甲状腺に病気があるとヨードを摂ってはいけませんか
- ヨードは甲状腺ホルモンの原料であり、摂取されたヨードは甲状腺で濃縮され甲状腺ホルモンが合成されます。
甲状腺が正常な方は過剰のヨードを摂っても問題はありませんが、甲状腺に異常のある方や治療をされている方はヨードの制限が必要です。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の方では抗甲状腺剤の効果が悪くなることがあり、慢性甲状腺炎(橋本病)の方では甲状腺機能低下を起こす可能性があります。ヨードは多くの食品に含まれていますが、1日の必要量は0.05から0.2mg(50-200μg/日)と少量です。
しかし海産物の豊富な日本では欠乏することはまずありません。海藻類は大量のヨードを含んでおり、特にコンブには大量に含まれていますので、根コンブやコンブだしの摂取を控えましょう。またワカメやひじきなどもヨードの含有が多いのですが、少量なら問題ありません。みそ汁の少量のワカメも心配ないでしょう。 - メタボリックシンドロームとはどのような状態をいうのでしょうか
- 健康診断などで指摘されることが多く、最近では新聞や雑誌、テレビなどでよく扱われるようになりました。
外見上ひどく肥満していなくても内臓脂肪が蓄積すると各種の検査値(中性脂肪、HDLコレステロール、血圧、血糖値)の異常が重なりやすく、またそれらが軽度であっても心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる動脈硬化性疾患を起こす率が急激に高くなります。
このような状態を「メタボリックシンドローム」と呼びます。内臓脂肪の蓄積はウエスト周囲径から推定できますので、担当医と相談しながら生活習慣を改善して、ウエスト周囲径を基準以内におさめるように努力してください。食事療法、運動療法、減量などが治療の基本となります。
メタボリックシンドロームの診断基準は、ウエスト周囲径:男性85cm以上、女性90cm以上の必須条件に加えて、脂質代謝異常(中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満)、血圧高値(130/85mmHg以上)、糖代謝異常(空腹時血糖110mg/dl以上)のうちの2項目以上が存在することです。 - 甲状腺が腫れている(甲状腺腫がある)と医師や周囲の人からよく言われますがどのような状態でしょうか、またそのままにしておいてもよいのでしょうか
- 甲状腺の病気には、大きく分けて機能の面から甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)と甲状腺機能低下症(橋本病など)があり、一方形態の面から甲状腺腫瘍(良性・悪性)があります。
甲状腺疾患を専門とする施設を受診していただければ、血液検査(甲状腺ホルモン・甲状腺抗体)や超音波検査、場合によっては細胞診などを用いて的確にこれらの疾患を鑑別して説明してもらえます。
一般的に甲状腺疾患は女性に多く見られます。有病率はバセドウ病は300人に1人、橋本病は10人に1人といわれ、甲状腺結節は超音波検査を用いた検査では50歳以下では25%、50歳以上では40%とかなりの高率です。とはいえ無治療・経過観察のみでよいものもたくさんありますので、まずは甲状腺の専門医にお気軽にご相談ください。 - 降圧剤(高血圧症の薬)を内服しており家庭での血圧測定を勧められました。どのように行なえばよろしいでしょうか
- 血圧は随時変動しており、従来のように受診時のある一点のみですべてを評価することは困難といえます。
さらに受診時の緊張などにより白衣性高血圧などを呈する場合も多く、なるべく平常時の血圧変動状態の評価が重要です。最近では家庭用血圧計が多数市販されており手軽に自宅で血圧測定が可能です。
これまでの多くの研究で起床時(早朝)の血圧上昇が脳卒中や心臓病と関連していることが明らかされており、日中はもちろん早朝の血圧も良好にコントロールすることが重要になってきました。
したがって起床後朝食までの時間帯に1回、他は夕か夜(入浴後は避けて)にできればもう1回測定されるのが妥当と思われます。
毎回のデータはすべて記録して受診時にご持参ください。担当医には大変参考になります。家庭用血圧計は上腕用(肘で測定)のものが原則ですが、前腕用(手首で測定)のものでも座位で上肢を台の上に置き心臓と同じ高さで測定すればよいです。